基礎知識
作成日:2017.02.15
共有持分が競売にかけられているのをたまに目にしますが、買う人がいるのですか?
不動産のブローカーが買っていくことが多いです。
共有名義の持分が競売されることがあります。
競落人は共有持分を落札しても、物件を単独で自由に使うことができないので、落札する意味がないのでは?と疑問に思う方もいると思います。
このような物件を購入する人は、いわゆる不動産ブローカーが中心です。 落札したあとに、
①他の共有者へ買い取りを要求したり、
または
②他の共有者の持分を買い取ったりできないかと完全な所有権にする交渉を行ってきます。
競売後に上記の交渉ができるようであれば、初期の段階で他の共有者が既に買い取っているはずですので、交渉が難航することが予想されます。
交渉がうまくいかない場合落札者は「共有物分割」の請求をしてくることが考えられます。
民法256条1項:「各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる。」 とあります。
共有持分を落札した競落人も一「共有者」となったわけですので、いつでも他の共有者に分割請求をすることができてしまいます。
分割の方法としては、
「法」律で「定」められた「地上権」なので、「法定地上権」と呼ばれます。
ただ、無制限に認めると抵当権者に大きな不利益を被らせてしまうので、一定の要件を元にこれを認めています。
○法定地上権と約定利用権(賃貸借契約が一般的)の違い
約定利用権の代表例は賃借権になります。
不動産の賃借権は、借地借家法で賃借人が保護されていますが、あくまで債権です。
その点、法定地上権は「物権」であるので、債権よりも強い権利です。
例えば、地上権は譲渡転貸ができますが、賃借権は賃貸人の承諾なき限り譲渡転貸できません。
つまり、法定地上権の成立は建物所有者にとっては利益になりますが、土地所有者にとっては不利益になるという点がポイントです。
交渉がうまくいかない場合は裁判所の力を借りることになってしまいます。
民法258条1項:「共有物の分割について共有者間に協議が調わないときは、その分割を裁判所に請求することができる」
とあります。
裁判による分割の場合、特に家屋の場合、現物分割は困難な場合が多いため、競売にかけ代金分割を進めていくことになります。
したがって、第三者に共有持分を取得されてしまった場合、その不動産が競売にかけられる可能性が高くなってしまいます。
最初の競売にかけられ、競落人との交渉段階で決着することが、他の共有者は不動産を手放さずに済む可能性は高くなります。
また、共有持分を競落するブローカーは不動産のプロであり、不利な条件提示をしてくる場合も少なくないので、かなりの交渉力が必要になってしまいます。
共有持分の当事者間売買の場合、売主と買主の思惑は相反するので共有者同士の話を纏めることは非常に困難です。親族間の微妙な関係性や、過去の出来事による遺恨などが一気に噴き出したり、金銭問題が絡むと、なおさら避けて通れないところです。
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