基礎知識
作成日:2017.01.27
借地権を設定している土地のことを「底地」もしくは「底地権」といいます。底地権を所有しているのが地主であり、地主は借地権設定者とも呼ばれます。
完全な所有権があると、『使用』『収益』『処分』の3つの権利を行使することができますが、底地権の場合、土地は借地人が家を建てて利用しているおり、『使用』が制限されている状態です。
すなわち、土地全体から、『使用』する権利を引いたものが底地権ということもできます。
安定した地代が入るというのが底地の最大のメリットです。土地は所有しているだけで、固定資産税がかかります。特に都心に土地がある場合、固定資産税は高額になるため、その支払いのためにも土地を貸して地代を得るというのは良い方法です。
また、土地の管理をする手間が省ける、という点もメリットの一つといえるでしょう。
地代を確実に回収できるかわからないということや、底地を所有者(地主)が利用することができないこともデメリットとして挙げられますが、底地の最大のデメリットは、1度土地を貸してしまうとなかなか返ってこない点です。
借地権の契約期間は1年や2年ではありません。最低でも20年は貸す必要がありますし、そもそも更新が前提となっているため20年の契約期間が過ぎてもなかなか返ってこないのが実情です。
また使用権限が制限されているので、もし返ってきて底地を売却しようと思ってもなかなか売却できなかったり、売却できたとしても価格が安くなってしまったりする点はデメリットといえるでしょう。
底地を売却するには、大きくは2つの方法があります。
①借地人に買い取ってもらう
②業者に買い取ってもらう
借地人に底地を買い取ってもらうことができれば、一番スムーズに底地を処分することができます。もちろん、借地人に資力がなければいけませんし、価格面などの条件で折り合いがつかないと難しくなってしまいます。
借地人に買い取ってもらうことが難しい場合は、業者を利用して底地を売却することになります。
①②の大きな違いは、売却の価格面でしょう。一概には言えませんが、借地人に売却する場合には、更地価格の50%程度、業者を通じて売却する場合には、更地価格の10%程度とされています。
借地人が底地を買取ることで、借地人は借地を完全所有権の土地にすることができるため、借地人に売却する方が高く売却できる可能性は高くなります。まずは借地人への売却を検討しましょう。
底地人(地主)が死亡した場合、底地は相続財産に含まれます。地主の地位を相続した相続人が、底地人としての地位も引き継ぎます。
(相続の一般的効力)
第八百九十六条 相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。・・・
相続財産に含まれるということは、相続税の課税対象になるということです。ここからは、底地の相続税について解説していきます。 底地の相続税評価の方法は借地権の相続税評価と同様に路線価を基準にして算出されます。
相続税の課税対象額=更地としての評価額×(1-借地権割合)
底地って売却しにくいの?
通常の土地(完全な所有権の土地)よりも売却しにくいです。
土地を自分で所有している場合、「使用」「収益」「処分」を自由に行うことができます(※所有権の権能)。
(所有権の内容)
第二百六条 所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。
ところが、土地を借地人に貸す=「使用」する権利を制限されてしまうことになります。
使用する権利が制限されてしまうと、底地を買い取った第三者もその土地を利用することができません。そのため底地は売却しにくい、売却できても安価になりがち、というように言われてしまうのです。
共有持分で底地を所有している場合、自分の持分だけ売却することはできる?
共有持分のみの売却自体は、可能といえば可能です。
ただ、仮に本件のように10分の1の持分があるとして「10分の1の持分だけを購入したい」という人は現れるでしょうか?
共有持分は持っていても複雑、不便だから、という理由で売却したいということが多いと思いますが、それは買い取った人にとっても同じことです。わざわざ面倒な不動産の共有持分だけがほしい、という人はなかなか見つかりません。
また、共有持分は活用が難しいので、買い取った人にとってもメリットが少なく、買い手がついたとしても価格が安くなりがちです。
そこで、共有持分の売却をする際は、まずは当事者間での共有持分の整理を考えるようにするとよいでしょう。
①他の共有者に買い取ってもらう
他の共有者が買い取ってくれれば、話はスムーズです。他の共有者は自己の持分が増えれば、家賃(地代)を得られる割合も増えるので、買い取ってもらえる可能性は十分にあります。
それができない場合には、土地を現物分割(分筆)し、売却することも考えられますが、土地の分筆は必ずできるとは限りませんので注意が必要です。
また第三者への売却も考えられますが、利用価値の低い土地はなかなか買い手がつかず、仮に買い手がついたとしても非常に安価になってしまいます。
ただどのくらいの価格で売却ができるかどうかは状況によって変わってきますので、まずは、専門業者に相談してみるとよいでしょう。
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