相談事例
作成日:2017.02.13
コンテンツ番号:1674
民法255条の規定の適用の場面
ABで不動産を共有Bが死亡、AはBの共有持分を取得できますか?
なお、Bさんには親族は不在です。
Bさんに特別縁故者(内縁の妻など)がいなければAはBの
共有持分を取得できると考えられます。
1、民法255条
※民法255条:「共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する。」 とあります。 Bには親族がいないので、原則他の共有者(A)に持分は帰属することになりそうです。
2、民法958条の3
一方、こんな規定が民法にあります。
民法958条の3:「…相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができる。」 とあります。
※この規定は、被相続人が死亡し、相続人がいない場合に特別に縁故がある人(内縁の配偶者や事実上の養子など)が相続財産を取得する方が国庫帰属するよりは望ましいのではないか、という判断からこの特この制度が存在します。
3、両者の適用関係
それでは、両者の適用関係はどのようになるのでしょうか。
特別縁故者と他の共有者どちらが優先するのでしょうか。
参考判例を見てみましょう。
?参考判例:最高裁平成1年11月24日判決 判旨:「共有者の一人が死亡し、相続人の不存在が確定し、相続債権者や受遺者に対する清算手続が終了したときは、その共有持分は、他の相続財産とともに、法九五八条の三の規定に基づく特別縁故者に対する財産分与の対象となり、右財産分与がされず、当該共有持分が承継すべき者のないまま相続財産として残存することが確定したときにはじめて、法二五五条により他の共有者に帰属することになると解すべきである。」としています。
相続人不存在→958条の3(特別縁故者)→255条という順で相続財産の帰属を決していきます。
すなわち、特別縁故者に相続があるか、ある場合には共有者への持分の帰属無し。
特別縁故者に相続が無いない場合に初めて他の共有者への帰属の有無の問題になるということです。
共有持分の当事者間売買の場合、売主と買主の思惑は相反するので共有者同士の話を纏めることは非常に困難です。親族間の微妙な関係性や、過去の出来事による遺恨などが一気に噴き出したり、金銭問題が絡むと、なおさら避けて通れないところです。
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