事例でわかる!不動産「共有持分」の売却について

中途半端な遺言(遺言書が中途半端でもめてしまった事例)

公開日: : 最終更新日:2017/10/12 相談事例 , , ,

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先日父が亡くなったのですが(相続人はA~Cの兄弟の3人)、遺言書が二つでてきました。
①遺言書:甲地(評価額9000万円)をABCに相続させ、同様の割合で共有する
②遺言書:甲地(評価額9000万円)をABに相続させ、同様の割合で共有する
とありましたが、②に関してはCに関しての記述は一切ありませんでした。
①②どちらの遺言に従えばよいでしょうか。
※遺言書①、遺言書②どちらも形式自体に不備はないようです。

中途半端な遺言

1、遺言書の優劣

(前の遺言と後の遺言との抵触等)

民法1023条:「前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなす。」

とあります。

本件の場合、遺言書①と遺言書②とでは、甲地に関して矛盾した内容になってしまっています。

このような場合、条文にもあるように、矛盾した部分については、「後に」作成された遺言が「前の」遺言書を撤回することとなっています。

よって、遺言書①と遺言書②の後に作成された方に従うべきといえます。

民法968条:「自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。」

とあるように、具体的には、遺言書が作成された日付を比較し、後の遺言書に従うものとされます。

 

2、①の遺言書が後に作成されていた場合

 ①遺言書が後に作成されていた場合には、①遺言書が真正として扱われます。

 そうすると甲地についてはABCがそれぞれ3分の1ずつで共有することになります。

 

3、②の遺言書が後に作成されていた場合

 ②遺言書が後に作成されていた場合には②の遺言書が真正として扱われます。

 そうすると甲地についてはABの2分の1ずつの共有となり、Cは相続することができません。

 しかし、Cは遺留分減殺請求権を行使することによって金銭を得られます。

ライン

※遺留分とは?

遺言書の内容にかかわらず、相続人は遺産の一定割合を取得できる権利があり、この取得できる割合のことを遺留分と言います。

(遺留分の帰属及びその割合)

民法1028条:「兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合に相当する額を受ける。

一  直系尊属のみが相続人である場合 被相続人の財産の三分の一

二  前号に掲げる場合以外の場合 被相続人の財産の二分の一」

 とあります。

よって、Cは相続財産の3分の1(ABCの各相続分)×3分の1(民法1028条2号)=6分の1=1500万円の遺留分を得られる権利があります。

 (減殺請求権の期間の制限)

民法1042条:「減殺の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から一年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から十年を経過したときも、同様とする。」

とあるように、相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間行使しないときは、時効によって消滅し、相続開始の時から10年を経過したときも時効によって消滅してしまいます。

後者は除斥期間と呼ばれ、時効による中断などはありません。

遺留分権者が知らなかったとしても10年経過してしまうと、遺留分減殺の権利を行使することは、もはやできませんので、注意が必要です。

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