事例でわかる!不動産「共有持分」の売却について

⑧「持分の交換」により不動産の共有名義を解消する方法

img_1516540ab27837d44494877c5bb0ab9188905[1]

前回は、共有物分割請求訴訟で「現物分割」の判決が出ないケースについて取り上げました。今回は、「持分の交換」により不動産の共有名義を解消する方法を見ていきます。

共有者それぞれの「持分」を交換した事例

前回の続きです。

以上のほか、事案によっては、共有者それぞれの持分を交換するという解決方法も考えられます(この方法は(4)持分買い取りのバリエーションの1つともいえるでしょう)。

たとえば、以前相談が寄せられた次のケースでは、この持分の交換によって解決を図りました。

「5年前に父が亡くなり、2世帯住宅、アパート2棟(同敷地内)と預貯金を遺産分割協議により兄弟2人で相続し、各不動産については共有持分として相続登記が完了しております。しかし、兄から会社の資金繰りのため、それらの不動産を売却したいと申し入れがありました。私はほかに自宅があるので、2世帯住宅は売ってもいいと思っていますが、アパートについては賃料収入が得られるので持ち続けたいと考えています」

この事案では同じ規模のアパート2棟が同じ敷地内にあり、不動産評価額も同じだったことから、共有持分の交換をすることによりアパートの共有名義を解消しました。それに伴い、兄のアパートは売却されることになりましたが、相談者自身は自らのアパートを引き続き保有しています。そして2世帯住宅についてはともに共有名義のまま売却することになり、すべて相談者の望み通りに話がまとまりました。

 

「持分」と「建物区分所有権」を交換して問題を解決

また、書籍『あぶない!!共有名義不動産』第二章で取り上げた【事例6】土地の持分と区分所有権を兄に売りたい例では、「持分」と「建物区分所有権」を交換するという解決策を試みました。このケースで兄の側は、Fさんの持分を買い取ってもよいという意向を示してはいたものの、そのために必要となる買い取り資金を持ち合わせていませんでした。そこで、兄の土地の共有持分とFさんの建物区分所有権を交換するという方向で話をまとめることになったのです。

最終的には、交換の結果生じた交換差益による差額分を、兄がFさんに土地権利金として支払うこと、また、両者が賃貸借契約を結び、兄からFさんに毎月、地代を支払うことが合意され、無事、問題が解決されました。

 

>>次の記事 ⑨不動産の共有名義を解消する7つの方法を読む

>>前の記事 ⑦共有物分割請求訴訟で「現物分割」の判決が出ないケースを読む

本記事は、2017年5月26日刊行の書籍『あぶない!!共有名義不動産』から抜粋したものです。稀にその後の税制改正等、最新の内容には一部対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

共有部分のご相談なら中央プロパティーにお任せください!
共有部分のご相談なら!

関連記事

img_103c9f7a9c8a46a967547f6200e4381f309231[1]

⑨不動産の共有名義を解消する7つの方法

前回は、「持分の交換」により不動産の共有名義を解消する方法を解説しました。今回は、不動産の共有名義を

記事を読む

img_cddf3b8eb9ea75e2f34275a172170633598901[1]

⑮共有不動産の鑑定評価・・・具体的な「3つの方法」とは?

前回は、不動産の共有名義人の一人が「行方不明」の場合の対応について解説しました。今回は、不動産の鑑定

記事を読む

img_ab18282c19b6b0408a1d490dbfb9e689490869[1]

⑯共有不動産のトラブルに強い司法書士、弁護士の選び方

前回は、共有不動産の鑑定評価について解説しました。今回は、共有不動産のトラブルに強い司法書士、弁護士

記事を読む

img_f3885e789742f664f63cbba7a3487101100082[1]

③共有名義不動産の「一部売却」…買い手をどう選ぶか? 

前回は、不動産の「一部売却」で共有名義の問題を解消する方法を解説しました。今回は、共有名義不動産の一

記事を読む

img_4bf6beb1bc32a2ee03efa72bba1f039c655934[1]

⑩共有名義の収益不動産…賃料を独り占めされた場合の対応

前回は、不動産の共有名義を解消する「7つの方法」の概要を取り上げました。今回は、共有名義の収益不動産

記事を読む

img_cccfceac91e0329e12591f20039f362d632344[1]

⑬不動産の共有名義人の一人が「行方不明」の場合は?

前回は、借地権の売却において、地主に承諾を拒否された場合について解説しました。今回は、不動産の共有名

記事を読む

img_f3864a592af5599f8537eee37ed5e8d649522

②不動産の「一部売却」で共有名義の問題を解消する方法

前回は、共有名義不動産の問題を解決する手段の1つである「全部売却」について解説しました。今回は、不動

記事を読む

img_83f9e2c1b779823092764b82c7e9a04a31820[1]

④共有不動産の「持分」を売却できない典型的なケースとは?

前回は、共有名義不動産の一部売却における、買い手の選び方を解説しました。今回は、共有不動産の「持分」

記事を読む

img_e6d0a4545f8531d6226caeb70ced47a889770[1]

⑪共有名義の収益不動産 他の持分を第三者に取得されたら?

前回は、共有名義の収益不動産で、賃料を独り占めされた場合の対処法を解説しました。今回は、共有名義の収

記事を読む

img_e1e3f3944c22cb6ab8081b4184a1d3f7723256[1]

⑰「不動産仲介業者」を活用した共有不動産トラブルの解決法

前回は、共有不動産のトラブルに強い司法書士、弁護士の選び方を解説しました。今回は、「不動産仲介業者」

記事を読む

共有部分のご相談なら!
要件事実
要件事実

意義:一定の法律効果が発生するために必要な具体的事実。※民事訴訟におい

贈与
負担付贈与

意義:贈与に負担が付いているもの。(負担付贈与)民法553条:「負担付

寄与分
寄与分

意義:寄与分とは、被相続人の生前に、その財産の維持や増加に影響するよう

二重起訴(重複起訴)の禁止
二重起訴(重複起訴)の禁止

(重複する訴えの提起の禁止)民事訴訟法142条:「裁判所に係属する事件

弁論主義
弁論主義

意義:事実・証拠の収集を当事者の権能と責任に委ねるという原則のこと。<

→もっと見る

PAGE TOP ↑