事例でわかる!不動産「共有持分」の売却について

表見代理

公開日: : 最終更新日:2017/02/23 用語集 , , ,

意義:本人側に何らかの落ち度があり、相手方が代理権がないにもかかわらず、本人の代理人として振る舞う者に代理権があると誤信してしまうような事情があると認められる場合に、取引した相手方を保護するため、その代理行為を有効な代理として扱うことをいいます。

解説

民法上想定されているケースは以下になります。

1、109条(代理権授与の表示による表見代理)

民法109条:「第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、その責任を負う。ただし、第三者が、その他人が代理権を与えられていないことを知り、又は過失によって知らなかったときは、この限りでない。」

とあります。

分かりにくいので、具体例を挙げてみてみましょう。

例)Aさんは、家を買おうと思いましたが、忙しいのでBさんに代理権を与えて代わりに買ってきてもらおうと考えていました。

そして、不動産屋さんであるCに、「家を買う代理権をBさんに与えたから…。」と言いました。

しかし、Aさんは、未だにBさんに代理権を与えていませんでした。

その後、Bさんは、代理権がないにもかかわらず、Cさんの所に行って「Aさんの代理人として、家を買いにきました。」と言いました。

そこで、Cさんは家を売りました。

という場合です。

善意・悪意・過失・重過失

民法によると、原則そのような場合も有効となりますが、相手方(C)が代理権が無かったことにつき悪意(知っていた)・有過失(調査義務懈怠)があった場合であれば、この取引は無効になります。

 

2、110条(権限外の行為の表見代理)

民法110条:「前条本文の規定は、代理人がその権限外の行為をした場合において、第三者が代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるときについて準用する。」

こちらは、代理権自体はありますが、代理人が本人から委託された権限以外の行為をしてしまった場合です。

例:A(本人)がB(代理人)に車を買ってきてほしいと、委託したところ、BはC不動産屋に行き、家を買ってしまった場合

 このような場合本人からすると頼んでいないものを買われて困り果ててしまう一方で、Cさんも物件が売れて経済的プラスを生んでいるため無効となってしまうとかわいそうですよね。

 そこで、(家を買うという)代理権まであるとCが信じてしまうような「正当な理由」があれば、取引が有効となるようにしました。

 「正当な理由」は代理権が無いことにつき「善意・無過失」(代理権が無いことを知らず、調査義務も十分果たした場合)であれば、取引は有効に成立することとしています。

 ※有効になった場合にはAさんはBに対して責任追及することはできます。

 

3、112条(代理権消滅後の表見代理)

民法112条:「代理権の消滅は、善意の第三者に対抗することができない。ただし、第三者が過失によってその事実を知らなかったときは、この限りでない。」

 こちらは、「過去」代理権はあったが、代理権が無いにもかかわらず、代理人が代理行為をしてしまう場合です。

例:A(本人)はB(代理人)にC不動産屋さんで家を探して買ってきてほしいと依頼し、Bは家を買いました。

 これで、AとBとの代理契約は終了(代理権は消滅)したにも関わらず、Bは再びC不動産屋さんを訪れ、Aがまた家を探しているといい、家を購入してしまうような場合です。

 このような場合も相手方が知っていたか否か、過失があったか否かで取引の有効無効を判断することとしています。

 代理権の消滅につき、善意無過失であれば、取引は有効に成立します。

  1. 無権代理と表見代理の関係

無権代理とは全く権限がないにもかかわらず、代理行為がされる場合です(※無権代理参照)。一方の表見代理は一定の代理権はあるものの、権限外の行為が行われている点に違いはあります。

ただ、どちらも代理権はないというのは共通です。

そこで、相手方としては、代理人に対し無権代理を主張することも、表見代理を主張することができると判例ではしています。

 ♦最高裁昭和62年7月7日

 判旨:「…したがつて、無権代理人の責任の要件と表見代理の要件がともに存在する場合においても、表見代理の主張をすると否とは相手方の自由であると解すべきであるから、相手方は、表見代理の主張をしないで、直ちに無権代理人に対し同法一一七条の責任を問うことができるものと解するのが相当である」

とし、どちらの選択も可能としています。

 ※本人が無資力な場合に代理人に責任を追及する場合は無権代理人の責任を追及することに意味があります。

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