相談事例
作成日:2017.11.16
コンテンツ番号:607
30年前に父が他界した後、自宅を母と兄弟3人で相続することになりましたが、相続登記は現在も変更されないままとなっています。
私と母親は共に暮らし、ずっと親の面倒を見てきましたが、弟は親に対し何もせず、しかも、母亡き後、「自宅を売りお金を工面したい」と言い出してきました。
私は自宅を売るつもりはないので反対をしましたが、弟は共有名義・共同名義の不動産があるとのことで共有物分割請求という訴訟を起こすと言ってきました。
しかし、色々と調べた結果、相手から訴訟を起こされると、私が弟の共有名義・共同名義の不動産を買い取るか、売却するか、競売になるのかという方向になると聞きました。
ただ、裁判に頼らず解決したいので、どうせなら第三者に高く売りたいが、その際、共有者の同意なく売却は可能なんでしょうか?
また、母の共有名義・共同名義の不動産を相続登記した際に相続税は発生するのか査定してほしい。
(1)共有持分の売却の点
まず、自己の共有持分のみを売却すること自体は可能です。
他の共有者の同意も不要です。
当社では不動産鑑定士による物件査定を行い、相談者様にとっては非常に利益になる価格提示で当社のお客様にお譲りして頂きました。
(2)相続税の点
また、相続税においては、当社提携の公認会計士により計算を行った結果、不動産価格としては億を超える物件でしたが、母の共有持分割合により計算されるため、基礎控除額により相続税は発生しないと判明し、相談者様には安心感を与えることができました。詳細解説
(1)不動産を共同所有・共有名義のデメリット
本件のように、不動産が相続により共有名義・共同名義になることはよくあります。
共有状態を放置しておくとどのような問題が起きるのか…
ズバリ…トラブルの引き金になる!点です。
①相続による共有状態を放置しておくと、2次相続や3次相続が起こるとどんどん細分化されていってしまい、権利関係が複雑になってしまいます。
②また、共有不動産を処分、売却する際には共有者全員の同意がいります。
一人でも反対する者がいると共有物全体の処分・売却はできません。
③共有不動産を現実に分割して売却しようとなった場合、どこを分けるのかで揉めてしまう。
共有持分は特定の場所を共有持分割合で所有しているわけではなく、共有不動産全体に対して、どの割合で所有権を持っているかということになるので、現実に分筆する場合には、どこの部分をどのように分けるか決めなければなりません。
道路に面しているか否か、日当たりが良いかなどで変わってきます。
当然各共有者は少しでも良い所を欲しいと思うでしょう。
協議の中で、上記の点が火種になることは予想できてしまいます。
(2)不動産を共同所有・共有名義のメリット
一方、共有名義・共同名義の不動産を持っている場合のメリットは、①マイホーム特例を各人で使える、②勝手に売却や担保設定をされないことが考えられます。
①マイホーム特例について
マイホームを売ったときは、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除ができる特例(※参考URL:https://www.nta.go.jp/taxanswer/joto/3302.htm)があります。
この控除を共有者それぞれが使うことができるので、節税というメリットがあります。
②担保権について
共有者のうちの一人が抵当権などの担保権を設定しようとする場合、他の共有者全員の同意がないと基本的には金融機関は抵当権を設定してくれません。
法律の要件ではないのですが、各金融機関は上記通例に従って担保権を設定します。
共同所有・共同名義にしておけば共有者の一人が抵当権などの担保権を設定しようとするのを阻止することができます。
※ただし、個人の債権者が共有持分のみでも良いと承諾すると、抵当権などは設定されてしまいます。
このように、メリットは節税になる程度で大きくはないと言えます。
不動産を共有名義・共同所有でもっているということは、トラブルの原因にもなってしまう可能性も高くなります。
また、2次相続、3次相続が起こっていくとどんどん複雑になっていきます。
どこかで解決しなければならないのであれば、早めに解決しておくべきと言えるでしょう。
当社では、共有持分に関するトラブルを多く解決してきました。
共有持分を売却することが解決策のすべてではございません。
お客様の状況にあった最適な解決策を当社ではご提案させて頂きます。
是非一度ご相談ください。
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