相続で複雑になった名義の整理

   

相談事例

借地権

相続で複雑になった名義の整理

コンテンツ番号:454

甲土地上には祖父名義の乙建物が建っています。

甲土地は祖父の子の兄弟姉妹計7名(A~G)の共有名義となっています。その後A、B、C、Dの4名が死亡のため、その子らが相続手続きをしておりますが、1名(A2)が拒否のため難航しています。
死亡した4名(A~D)には、A1・A2、B1・B2、C1、D1・D2がおり、生存の3名とを合わせると
現在では、10人で甲土地を共有している状態です。
A1~D2のこの中で、A2のみが相続手続きの拒否しているため、前述のように処分含め難航してしまっています。
そこで、質問が3つあります。
①A2の相続登記ができない場合、A2を含め、全員の権利を売却することができるか。
②ABD以外の共有名義者の権利を売却することができるか
③売却するための要件はあるか(例:借家を壊し、更地にする必要があるなど)

①について

本件ではA2が相続手続きを拒否しており、相続登記ができない状況になってしまっています。そのため、拒否しているA2の分も含めて売却ができないかというご相談ですが…

結論としては…

できません

以下、理由を解説していきます。

(共有物の変更)

民法251条:「各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができない。」

変更行為の具体例は、①共有物全体の処分(売却)、②地目の変更(「農地」を「宅地」に変更)が代表例です。

そのため、他の共有者の同意なくして、共有物全体(本件甲土地)の処分をすることは残念ながらできません。

甲土地全部を売却したいのであれば、A2の同意を取り付ける必要があります。

②について

ABD以外の共有名義者の権利を売却することができるかについてですが、共有物「全体」の処分でなければ、各共有者が単独で自己の持分を売却することができます。

そのため、本件の場合、C1・E・F・Gらの持分のみを売却すること自体は可能です。

ただ、複雑な権利関係となる共有持分よりも、共有物全体を売却できる方が買手もつきやすいですし、売値が高くなる可能性が高くなります。

③について

甲土地を売却するのに特段要件はありません。借家が土地上に建っていても問題なく売却することはできます。

すなわち、借地権が設定されている土地(底地)の売却をすることになります。

ただ、当然、売却価格は低くなってしまいます。

借地権が設定されている=買い手は利用権限を制限されるためです。

そのため、高く売却したいのであれば、甲土地を更地にするとより高額に売却できる可能性は高まります。


もちろん、借地人との借地権設定契約の状況などによって変わってきます。

また、本件では、乙家は祖父の名義ということなので、祖父が亡くなった場合は、Aらが相続することになり、甲家についても権利関係が複雑になる可能性があります。


自己の共有持分を売却して、共有関係から綺麗さっぱり離脱することで、面倒なしがらみからも抜け出すことができます。

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