共有者が居住している共有不動産の売却(離婚協議中の夫婦共有不動産のケースも含む)

   

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作成日:2018.11.19

共有者が居住している共有不動産の売却(離婚協議中の夫婦共有不動産のケースも含む)

コンテンツ番号:361

共有者が居住している共有不動産の売却について

共有不動産を売却しようと思っていますが、共有不動産を実際に利用している人がいても売却はできるのでしょうか。

また、その際のポイントはありますか。

 

共有者が居住している共有不動産の売却について

共有不動産を高く売却するポイント

まず、共有不動産をより高く売却するためには、共有状態のまま売るよりも、共有物全部を売却するか、土地等であれば、現実に共有部を分割して売却する方が高く売却できる可能性が上がります。

共有物全部を売却しようとする場合、ほかの共有者の同意がいるため、実際に共有不動産を利用している共有者からの同意を得ることは難しい場合もあるでしょう。

そのような場合、自己の共有持分のみの売却を考えるか、分割請求(共有物分割請求訴訟)をしていくことが考えられます。それでは、共有不動産をほかの共有者が実際に利用または使用している場合はどうでしょうか。

 

共有者が居住している際の共有持分の売却のポイント

(1)居住していると買い手がつかないもしくは安価になる?

(共有物の分割請求)

民法252条:「各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる。…」

とあり、共有不動産に共有者が現実に住んでいても「原則として」分割請求をすることができます。もちろん、自己の共有持分のみの売却をすることも可能です。


ただ、共有不動産を実際に利用している者がいる場合は、不動産評価が下がってしまう可能性があります。

土地の場合、実際に建物が建っている場合よりも更地の方が評価額が高いのと同様です。

(2)そもそも分割請求ができない場合も?

上記で、共有不動産に共有者の一人が現実に住んでいても「原則として」分割請求ができると述べました。

「原則として」という文言が気になった方もおられるかもしれません。

そうです。実は、例外として認められないケースがあるということです。

共有物の分割請求の権利を行使すること自体が権利濫用として認められない場合があります。

※権利濫用?

 (基本原則)

民法1条3項:「権利の濫用は、これを許さない。」

権利の行使の際、その正当な範囲を逸脱し、正当な権利の行使とは認められない状態をいいます。

いくら自分に権利を主張する正当な権限があってもその権利をいいことに濫用しすぎることは認めるべきではありません。

共有物の分割請求の場合も同様です。

各共有者は「いつでも共有物の分割を請求することができる。」とあるように、各々が分割請求権という権利を有します。

しかし、この分割請求権という権利の行使が逸脱・濫用している場合には分割請求権という権利を濫用しているとしてそもそも認められません。

共有物分割請求が権利濫用になってしまうケース

それでは、実際に共有物分割請求が権利濫用になってしまうケースはどのような場合か、具体例(参考判例)から考察してみましょう。

(1)成年後見人への分割請求

成年被後見人が住む家を失い、自分の生活費や必要な医療費を支払えなくなって不利益が大きいこと等を理由として、共有物の分割請求は権利の濫用とされた事例があります。(参考判例:東京地裁平成19年1月17日判決)

(2)別居中の夫から妻への分割請求

他には、別居中の夫が妻が居住する夫婦共有名義の不動産について行った共有物分割請求が権利濫用として棄却された判決があります。


♦東京高裁平成26年8月21日判決

判旨①:「民法258条に基づく共有者の他の共有者に対する共有物分割権の行使が権利の濫用に当たるか否かは、当該共有関係の目的、性質、当該共有者間の身分関係及び権利義務関係等を考察した上、共有物分割権の行使が実現されることによって行使者が受ける利益と行使される者が受ける不利益等の客観的事情のほか、共有物分割を求める者の意図とこれを拒む者の意図等の主観的事情をも考慮して判断するのが相当であり…」
 判旨②:「妻と子らは、本件建物を家庭生活の本拠として継続して生活し、本件建物は就学時期にある子らの通学及び通院の拠点となり、本件建物を本拠とする妻の子らに対する良好な監護養育環境が整っているにもかかわらず、妻との離婚協議が整わないまま夫の本件建物の共有分割請求及び本件建物の明渡しの請求が実現され、妻と子らが妻による監護養育の現状の継続を望むときは子らと共に退去を余儀なくされるとすれば、妻及び子らの生活環境を根本から覆し、また、現在の家計の維持を困難とすることになるのであって、妻及び子らが被る不利益は大きいものといわざるを得ない。」

結論:「夫の妻に対する本件建物に係る共有物分割等の請求は、著しく不合理であり、相手である妻にとって甚だ酷であるといわざるを得ないから、権利濫用に当たり許されないと解するのが相当である。」


妻(子にも)への共有物分割請求が権利の濫用にあたるかの判断に際して、実際に住んでいる場合などは、夫からの分割請求は権利の濫用として認められない場合があります。

 

このように、各共有者は「原則として」共有物分割請求権という権利を有していますが、時に権利の濫用として認められないケースがありますので、注意が必要です。

 

分割請求権の行使が権利濫用に当たるか否かの具体的な判断基準としては…

当該共有関係の目的、性質、当該共有者間の身分関係及び権利義務関係等を考察

共有物分割権の行使が実現されることによって行使者が受ける利益と行使される者が受ける不利益等の客観的事情

共有物分割を求める者の意図とこれを拒む者の意図等の主観的事情をも考慮

 

上記3つが重要なポイントになります。

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