相続した共有名義不動産の売却トラブル

   

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作成日:2017.10.16

兄弟で相続した共有不動産の売却トラブル

コンテンツ番号:3077


alt兄弟で相続した共有不動産の売却トラブル

父が残した自宅を兄弟で共有し、家賃収入を得ています。
ところが、弟が勝手に自宅を売りに出しています。
このようなことは許されるのでしょうか。
※また、この売却している自宅の共有持分が兄:弟=1:9の割合で、自宅の大規模修繕をしている場合はどうでしょうか。

alt兄弟で相続した共有不動産の売却トラブル

①弟の共有持分のみを売却している場合は適法です。
②弟が自己の持ち分を超え全部を売却している場合、やめるよう請求することができます。

1、弟の共有持分のみを売却している場合

(共有物の変更)

民法251条:「各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができない。」

とあり、同意がない場合、売却することはできないと思うかもしれませんが、それは共有物の「全部」を売却する場合であって、自己の共有持分のみを売却することは何らの問題もありません。
本件についても、弟が自己の共有持分のみを売却する場合は適法です。

2、弟が自己の持ち分を超え、全部を売却している場合

一方、弟が自己の持ち分の範囲を超え、全体を売却している場合や、兄の持ち分の一部も売却している場合は、兄はその売却をやめるよう請求することができます。

♦参考判例:最判平10年3月24日判決
判旨①:「共有者の一部が他の共有者の同意を得ることなく共有物を物理的に損壊しあるいはこれを改変するなど共有物に変更を加える行為をしている場合には、他の共有者は、各自の共有持分権に基づいて、右行為の全部の禁止を求めることができるだけではなく、共有物を原状に復することが不能であるなどの特段の事情がある場合を除き、右行為により生じた結果を除去して共有物を原状に復させることを求めることもできると解するのが相当である。」

とあるように、弟が自己の持ち分を超え全部を売却している場合には兄はそれをやめるよう(共有持分権に基づく妨害排除請求権の行使)請求ができます。

3、大規模修繕をしている場合

大規模修繕は共有物の変更行為に当たるため、他の共有者の同意、すなわち兄の同意を要するのが原則です。
上記参考判例(最判平10年3月24日判決)の他の部分で、以下のようなことを論じています。

♦参考判例:最判平10年3月24日判決
判旨②:「…もっとも、共有物に変更を加える行為の具体的態様及びその程度と妨害排除によって相手方の受ける社会的経済的損失の重大性との対比等に照らし、あるいは、共有関係の発生原因、共有物の従前の利用状況と変更後の状況、共有物の変更に同意している共有者の数及び持分の割合、共有物の将来における分割、帰属、利用の可能性その他諸般の事情に照らして、他の共有者が共有持分権に基づく妨害排除請求をすることが権利の濫用に当たるなど、その請求が許されない場合もあることはいうまでもない。」

確かに全員の同意がいりますが、その持分の割合が極端に偏っている場合等は他の共有者が妨害排除請求権を行使できない可能性もあります。
また、行使できる場合であっても、原状に戻すことが社会通念に照らして不経済である場合には、認めない場合もあります。
本件についても弟がなした大規模修繕の状況によっては、原状に復するよう請求することはできないことも考えられます。

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