相談事例
作成日:2017.10.13
コンテンツ番号:3070
父が亡くなり、遺産分割協議をしており、不動産について兄弟間でどのようにすべきか結論が出ません。「いっそうのこと、相続分の割合で共同相続し、しばらくは共有で、後になって考えようか。」と話していますが、問題はありますか?
できるだけ共有は避けた方が良いです。
(共有物の使用)民法249条:「各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる」
(共有物の変更)民法251条:「各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができない。」
上記にあるように共有物を処分したいような場合、全員の同意がいります。
確かに自己の共有持分のみを売却することもできますが、共有持分のみ取得したい人というのはなかなか現れないので、不動産の共有持分だけを売ってもさほど高値では売れないことが普通です。
通常、土地全体を売却し、その売却代金を各々で分ける方が手にできる現金は多くなります。
共有持分のみの売却だと、市場価格よりも3割程度安くなってしまうどころか、場所によっては買い取りたい、とい申し出てくれる人が全く現れないということすらあります。
また、共有者の一人が死亡してしまった場合、相続が発生し共有者の相続人らと共有になり、権利関係が複雑化してしまう可能性があります。
そうなって初めて、共有物全部を売って解消しよう・・・そうです、全員の同意がいります。
共有者が複数になってしまった段階で裁判をしようとしても、固有必要的共同訴訟と言って、共有者が全員裁判に関与する必要もあります。
さらに、当事者で共有の分割についての話し合いがまとまらず、裁判所に訴え共有分割を求める場合、共有物分割訴訟をすると、裁判官が事案に応じて共有物の分割方法を決定してくれますが、このとき、必ずしも自分達の望み通りの分割方法になるとは限らないので注意が必要です。
共有持分のみの売却は可能です。
例えば、共有不動産が家屋で、共有者の一人が自己の共有持分のみを売却した場合、残された共有者は見知らぬ第三者である買受人との共有となります。
その場合、買受人は持ち分に応じて賃料を請求することになるでしょう。
また、買受人は共有物の全部を売却する交渉、ひいては分割請求訴訟を提起することも考えられます。
このように、とりあえず共有にしておいて後で何とかなると思っている方は注意が必要です。
後々解消したくても、そもそも解消ができないばかりか余計なトラブルに巻き込まれてしまう可能性すらあるのです。
この場合は一刻も早く共有を解消するべきです。
共有の解消方法は主に以下の3つがあります。
①現物分割、②代償分割、③換価分割
①現物分割
とは、文字通り共有物を各共有持ち分に応じて分けてしまうことです。
家屋の場合は、難しい場合が多いですが、土地の場合は持分に応じて分筆することで現物分割をすることは可能です。
②代償分割
不動産を特定の相続人が取得して、その分の代償金を他の相続人に支払う方法です。
例えば、兄弟で2分の1ずつ不動産を共有の場合、兄に不動産(時価1000万円)を単独で取得させ、兄は弟の共有持分相当の金銭、時価1000万円×2分の1=500万円を支払うことで共有を解消する場合がこれにあたります。
③換価分割
換価分割とは不動産を売却して現金化し、その現金を相続人らで分け合う方法のことです。
例えば兄弟で2分の1ずつ不動産を共有している場合、当該土地全部を売却したところ2000万円でき、持ち分割合でその現金を分ける(=1000万円ずつ)方法です。
一見、共有の解消も楽にできそうと思うかもしれませんが、
①の現物分割の場合、土地であっても道路に面しているとか日当たり等でどこを境界として分けるか揉めることもあります。
②の代償分割の場合、取得者に現金が無ければそもそもそのような手法は困難です。
③の換価分割の場合先にも述べましたが、共有物の処分に当たるため、共有者全員の同意がいります。
共有関係を解消するにはテクニックが多くあります。
交渉の方法、また共有持分のみの売却一つとっても同様です。
当社は、共有関係のプロ集団です。
あなたに最適な解決方法をご提示させて頂きます。
まずは一度、当社にご相談ください。
共有不動産の自己持分を現金化(売却)するメリット・デメリットとは?
みんなが知りたがる“共有持分3つの質問” (いくらで売れる?誰が買う?買ってどうするの?)
共有名義不動産(共有持分)とは?