相談事例
作成日:2017.09.26
コンテンツ番号:2898
被相続人の遺言を同居の子供が書かせていますがこれは認められるのでしょうか?
場合によっては相続権が無くなる場合があります。
民法967条:「遺言は、自筆証書、公正証書又は秘密証書によってしなければならない。ただし、特別の方式によることを許す場合は、この限りでない。」
民法968条:「自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。」
とあるように、遺言者自ら書き記す(自書する)必要があります。
当然被相続人の子供であってもそれに関与することは原則としてできず、「偽造」になる可能性すらあります。
そのような場合…
民法891条:「次に掲げる者は、相続人となることができない。」
同条3号:「詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者」同条4号:「詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者」
同条5号:「相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者」
とあるように、相続欠格事由に該当し、相続権を失うことになってしまいます。
また刑法上のでも罪になる場合があります。
刑法159条:「行使の目的で、他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造した者は、三月以上五年以下の懲役に処する。」
刑法161条1項:「前二条の文書又は図画を行使した者は、その文書若しくは図画を偽造し、若しくは変造し、又は虚偽の記載をした者と同一の刑に処する。」
遺言書を偽造することは私文書偽造罪、偽造した遺言書を使用することは偽造私文書行使罪に当たる場合もあるため注意が必要です。
よくある類型として…
①本人以外の誰かがなりすまして遺言書を偽造する
②認知症の人をだまして本人の筆跡で遺言書を書かせる
場合があります。
①の場合は筆跡鑑定により偽造ということを証明することになるでしょう。
②の場合、遺言無効確認訴訟を提起し、遺言書自体の効力を争うことになると考えられます。
♦参考判例:最判昭62年10月8日判決
判決要約:「筆証書遺言が偽造であるかどうかが争われた場合には、遺言書の有効性は遺言書を有効であると主張する側にその立証責任がある」
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