共有者の感知しないところでの共有持分の売却

   

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作成日:2017.07.20

共有者の感知しないところでの共有持分の売却

共有者の感知しないところでの共有持分の売却について

コンテンツ番号:2728

ABCで共有(3分の1ずつの持ち分)の家屋甲があり、ここにはBCが住んでいました。
ところが、Aは自己の持ち分を投資家Dに売ったとBCへ連絡がありました。
BCは困った…出て行かなければならないのかと不安に思っています。
①出て行かなければならないのでしょうか?
②また、良いアドバスはありませんでしょうか?

共有者の感知しないところでの共有持分の売却について

出ていく必要はありませんが、Dに対して家賃相当の費用を支払う必要がある可能性があります。

解説


1、①について
(1)Cの売却行為の適法性について 本件ですとABCは甲建物を共有しており、その持分は3分の1ずつとのことです。

民法249条:「各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。」

とあるように各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができ、具体的には、甲家屋について3分の1の持分を有するABCは、面積の3分の1ではなく全体を使用することができます。

民法251条:「各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができない。」
民法253条:「各共有者は、その持分に応じ、管理の費用を支払い、その他共有物に関する負担を負う。」

上記のように変更などを加える場合は各共有者全員の同意がいります。
ABからすると、家を売却するという行為は「変更」にあたるのでは?と思うのではないでしょうか。
確かに、家屋の「全部」を売却する場合は変更行為となり、共有者全員の同意がいります。
しかし、自己の持ち分のみを売却するには他の共有者の同意は不要です。
というのも、共有関係というのは、共有者が有する所有の割合に過ぎず、所有権本来の権能は共有者各人にあります。

※所有権の機能

 民法206条:「所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。」

そのため、自己の共有持分を処分(=売却)することは自由なのです。
よって、本件Cのとった行為になんら問題はありません(適法な行為です)。

(2)売却後の関係について

Cは自己の共有持分を売却した結果、本件甲建物の所有権は完全になくなり、買受人Dに移ったことになります。
その結果、AB及び投資家Cが3分の1ずつの共有関係になります。
前述のように持分のある者は共有物全部について使用する権利があります。

ただ、見知らぬABと甲建物を一緒に使用することは考えられず、ABに家賃相当の費用を請求してくることになるでしょう。
そうすると、ABらはCに対して毎月家賃相当の費用を支払う必要があると考えられます。

解説

2、②アドバイス

共有持分を買い受けるのは不動産のブローカーや投資家が多く、転売で利益を生み出したり、他の共有持分権者に対して買取の請求や、分割請求をすることで現金を得ようとします。

特に分割請求をするとなると、ABは家に住み続けたいのに対し、Cは建物全部を売却し、現金を得たい等と意見がまとまらない場合は、訴訟→競売→現金を分割という流れになってしまします。

※参照条文

民法258条:「共有物の分割について共有者間に協議が調わないときは、その分割を裁判所に請求することができる。」

同条2項:「前項の場合において、共有物の現物を分割することができないとき、又は分割によってその価格を著しく減少させるおそれがあるときは、裁判所は、その競売を命ずることができる。」

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