相談事例
作成日:2017.04.28
コンテンツ番号:2390
Aは遺言により愛人Cに対して甲マンションを遺贈しました。妻であるBは自己の遺留分を侵害するとして遺留分減殺請求をCにしようと考えていますが、できれば、現物(土地)を返還されるよりは現金を手にしたいと考えています。そのようなことは可能でしょうか?
法律が改正され、できるようになりました。
遺留分侵害額請求権(旧遺留分減殺請求)とは、自己の遺留分を侵害された遺留分権利者及びその承継人は、自己の遺留分を保全するのに必要な限度で、受遺者や受贈者に金銭を請求することができる権利です。
(遺留分侵害額の請求)
民法1046条:「遺留分権利者及びその承継人は、受遺者(特定財産承継遺言により財産を承継し又は相続分の指定を受けた相続人を含む。以下この章において同じ。)又は受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができる。」
法定相続分よりも多くの財産を承継している法定相続人に対して,遺留分に当たる部分を金銭で渡すように請求することになります。
旧制度の遺留分減殺請求権の法的性質は形成権であり、被相続人から受遺者への遺贈・贈与は現在請求の意思表示によって遺留分を侵害する限度で当然に失効するとともに、受遺者または受贈者が取得した権利はその限度で、当然に遺留分権者に帰属することになりました。
遺留分を侵害された相続人は、遺留分減殺請求権を行使でき、受遺者などが取得した権利は遺留分を侵害する限度で失効し、遺留分権利者に復帰することになります。
そうすると、遺産が不動産の場合、遺留分権利者と受遺者は当該不動産について共有関係になります。
事例の場合、旧法下では妻Bと愛人Cの共有関係になってしまいました。
この共有関係になってしまうことで、権利関係が複雑な共有状態を作ってしまい、面倒なことになってしまうケースがありました。そこで、法律が改正され、現物を取り戻し、受遺者や受贈者と相続人が共有となるのではなく、単に侵害されている分の金銭を戻すという、形になりました。
なお、相続開始の時期で、旧法下の遺留分減殺請求権が適用されるのか、新法の遺留分侵害額請求権が起用されます。
具体的場合は下記になります。
遺留分減殺請求権の行使により共有関係が当然に生ずることを回避することを目的に改正されました。
法律は適宜改正され、以前の制度がもうなくなっていたり、大きく変わっていたりするケースはよくあります。変更されたことが具体的にどのような影響が出るのかなどは、専門家でなければ適切な判断をすることは難しいでしょう。
当社では最新の法律状況も把握し、お客様の希望にできるだけ沿えるよう解決策をご提示させて頂きます。
是非当社へ一度ご相談ください。
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