相談事例
作成日:2017.03.17
コンテンツ番号:2281
AさんはBさんにお金を貸していますが、返してくれません。 Bさんには預貯金が無く、他の兄弟との共有状態の土地だけあります。 債権をできるだけ多く回収する方法はありませんか?
債権者代位権を行使し、土地全体の現物分割を請求することで、債権回収の金額が増える可能性はあります。
1、共有持分の差し押さえ、競売
債務者が不動産を差し押さえられて競売(共有持分の競売)にかけられることはよくある話ですが、それは共有持分でも同一で、自己の共有持分が差し押さえられて競売手続がなされることがあります。
しかし、この競売手続で落札して競落人が取得できるのは不動産の共有持分に限られてしまいます。
不動産を全部利用することは出来ませんし、不動産全部を競売した時よりも価格が下がってしまいます。そうすると債権者は債権回収額が低額になってしまう可能性があります。
そこで、債務者を代位して共有分割請求をすることが考えられます。
2、債権者代位権とは
債権者代位権とは、債権者が自己の債権を保全するために債務者が持っている権利を代位して(代わりに)行使できる権利のことです。
民法423条:「債権者は、自己の債権を保全するため、債務者に属する権利を行使することができる。ただし、債務者の一身に専属する権利は、この限りでない。」
例:甲さんが乙さんに100万円を貸しました。乙さんは丙さんに100万円を貸しています。
乙さんにはめぼしい財産は無く丙への貸金を回収しようとしていません。
というような場合、甲が丙の乙に対する債権を代わりに請求できれば…これが債権者代位権という制度です。
債権者代位権は債務者の行為を代わりにするため、無制限に認めるわけにいかないのは当然、その介入できる範囲は最小限にしなければ、債務者に著しい損害を与えてしまう可能性があります。
債権者代位権が行使できるための要件を整理すると…
<債権者代位権の要件>
①債務者に対して債権を有していること(弁済期が来ていることが原則)
②代位行使する権利が債務者のみが行使できる権利でないこと(一身専属権でないこと)
③債務者が無資力であること
④債務者が自ら権利行使に着手しないこと
となります。
※特に問題となるのが③の「無資力」についてです。
無資力とは、文字通り資力の「無」い状況をいいます。
仮に、他にも財産(現金や不動産等)がある場合債務者がどの財産から返済するかは債務者の自由です(私的自治の観点)。
ですので、無資力すなわち債務超過していないと債権者代位権は原則として行使できません。
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