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作成日:2017.03.16

共有物の明渡請求

alt共有物の明渡請求

コンテンツ番号:2275

私は3人兄弟の長男で,父名義の実家家屋に長年父と同居し介護してきました。
父が亡くなり兄弟で相続について相談したところ,弟たちは父が亡くなったので父名義の家に住む権利はないから出ていけ。
住みたいのなら家賃を払えと言い出しました。
出て行かなければならないのでしょうか、また家賃も支払わないといけないのでしょうか?

alt共有物の明渡請求

遺産分割協議が終わるまでは従前通り住むことは問題ありませんし、家賃も発生しません。

解説

1、明渡について

本件では父の生前に,長男が父名義の実家建物に無償で居住していた点から,使用貸借契約(無償で借りる場合のこと)が成立していたと解されます。

そして,相続財産たる不動産について使用貸借契約を解除することは管理行為に該当します。

※共有物の管理に関する事項は、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決することになります。

本件では合わせて相続分の過半数を有する次男長女(多数持分権者)が求める家屋の明渡し請求を長男が拒めるのでしょうか。

参考になる判例を見てみましょう。

♦参考判例:最高裁昭和41年5月19日判決

 判旨:「他のすべての相続人らがその共有持分を合計すると、その価格が共有物の価格の過半数をこえるからといつて、共有物を現に占有する前記少数持分権者に対し、当然にその明渡を請求することができるものではない。…多数持分権者が少数持分権者に対して共有物の明渡を求めることができるためには、その明渡を求める理由を主張し立証しなければならないのである。」

本件の場合、次男長女側で明け渡しを求める理由を主張立証する必要があります。

 ※明渡を求める理由について、判例は基準などの明言はしていませんが当然合理的な理由がいるものと考えられます。

2、家賃の支払いについて

家屋を明け渡す必要がないとしても共有不動産を単独で占有してしまっています。
この共同相続人が自己の持分を超えて相続財産の使用収益をしていることは明らかです。
とすると、賃料相当額を支払う必要があるとも考えられます。
同種の事例の判例を見てみましょう。

♦参考判例:最高裁判所平成8年12月17日判決

 判旨:「共同相続人の一人が相続開始前から被相続人の許諾を得て遺産である建物において被相続人と同居してきたときは、特段の事情のない限り、被相続人と右同居の相続人との間において、被相続人が死亡し相続が開始した後も、遺産分割により右建物の所有関係が最終的に確定するまでの間は、引き続き右同居の相続人にこれを無償で使用させる旨の合意があったものと推認されるのであって、被相続人が死亡した場合は、この時から少なくとも遺産分割終了までの間は、被相続人の地位を承継した他の相続人等が貸主となり、右同居の相続人を借主とする右建物の使用貸借契約関係が存続することになるものというべきである。

としています。

少なくとも被相続人の死亡から遺産分割終了までは賃料は発生しないということになります。
その理由として、続けてこう述べています。
「…居住は被相続人の許諾に基づくものであったことからすると、遺産分割までは同居の相続人に建物全部の使用権原を与えて相続開始前と同一の態様における無償による使用を認めることが、被相続人及び同居の相続人の通常の意思に合致するといえるからである。」
としています。
少なくとも遺産分割終了までは賃料は発生することはありませんので、ご安心下さい。

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