相談事例
作成日:2015.12.17
コンテンツ番号:1110
15年前に母が亡くなり、品川区の一軒家を遺産分割協議によって兄弟6人が各持分1/6ずつ相続しました。税金(固定資産税など)は住んでいる長男がずっと払っていて、住んでいない他の5人は当然に税金を払っていません。もちろん名義こそ6人の共有名義ですが今まで長男から、何らかの対価として金銭の授受は1円もありません。
最近になって長男がいきなり“そろそろ税金の負担を6人で均等に負担しよう”と言ってきました。
住んでいない私たちに税金の負担義務があるのでしょうか?
“住んでいない私たちがなぜ??”と思うでしょうが、更に付け加えると共有不動産の維持管理に必要な修繕や改装費用等も原則、共有者全員の負担なります。
マンションの管理費をイメージして下さい。空家であったり住んでいなくても共有名義である以上、管理組合から管理費を請求されます。
※水道光熱費は共有物の負担には該当しません。
上記問題は共有名義不動産の場合、よく争われる事案ですが、住んでいない人が“税金を払え!”なんて言われたら当然、黙っていられません。
そこで長男に返す主張は“だったら持分割合による賃料相当額を払え”です。
相続後、長男以外の相共有者らは持分を所有していることの対価を長男から受けていませんので“賃料相当損害金”を請求できるのです。
実際に争いになっても「どっちもどっちね」で落ち着くケースが多いのが実情です。
※役所によって異なりますが、基本的に納付書は代表者一人にしか送付してくれません。
さかのぼって昔の権利を主張してもお互い時効の問題が出てきますし、民法を掲げるとこれまた原則論になりますので、やっぱり実際に住んでいる人が税金を負担するのが〝筋〟というのが心情的な落としどころでしょうか。
このように相続登記後、住んでいる特定の共有者だけが税金を払っているからといって、共有状態が“放置”されているのが現状です。
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